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 2018年10月10日、Finale version 26(以降v26と表記)がリリースされた。v25がリリースされたのが2016年の夏、途中いくつかの無償のメンテナンスバージョンがリリースされ、軽微な機能改善も行われたが、最近のFinaleでは、本格的なメジャーバージョンアップは2年おきのサイクルになっているようだ。なお、v26の日本語版がいつリリースされるのかについては、本稿執筆時点ではまだMI7からの公式発表はない。


FinaleSplash.jpg

v26の起動画面


 v26の動作システム条件については、公式によればWindows版がWindows 7以上、Mac版ががmacOS Sierra(10.12)以上となっている。2009年に発表されたOS上で動くWindows版に比べ、Sierraは2年前に発表されたばかりのOSであり、1年毎にOSを更新するApple社の姿勢にも問題があるとはいえ、Mac版についてはあまりに条件が狭すぎると批判が出そうだ。ただ、我が家のEl Capitan(10.11)環境でも特にインストール時に跳ねられることはなく、今のところ特に問題なく動いている。Yosemite(10.10)環境ではどうかについてはまだ情報がなく分からない。仮にインストールできたとして、OS固有の不具合があっても、サポート外という扱いなのだろう。

 早速、v26の新機能についてレポートを行ってみよう。


機能強化されたアーティキュレーション
 今回の機能強化の目玉は何と言ってもアーティキュレーションである。Finaleはこれまでもバージョンアップの際に特定のツールに絞って大々的な機能強化を行ってきたが、今回はアーティキュレーションがその対象となった。

 これまでのFinaleでは、アーティキュレーションに配置の順位はなく、1つの音符に複数のアーティキュレーションを付けると、同じ位置に配置されてしまっていた(下図参照)。これを自動的に回避する方法はなく、衝突したアーティキュレーションはユーザーの責任において手動で修正するしかなかった。

Articulation01.jpg

Finale v25以前のアーティキュレーション配置


 v26からは、アーティキュレーションの配置に順位が付き、同じ音符に複数のアーティキュレーションを付けると、自動的に並び替えてくれるようになった。

Articulation02.gif

 この順位は「アーティキュレーション選択」画面の並びで決定される。ダイアログ上部の注釈にもあるように、リスト中の「*」が付いたものが配置が考慮されるアーティキュレーションで、若い並びのものがより内側に配置されることになる。フェルマータは最も外側に配置されるものなので、従来より順位が繰り下がっていることが分かる。アーティキュレーションの配置の順番を変えたければ、このリスト上で項目を並び替えればよい。

Articulation03.jpg

 また、スラーとのコンビネーションも強化されている。これまでは、スタッカートなどのスラーの内側に配置されるアーティキュレーションのみが接触回避対象だったが、v26からはスラーの外側に付くアーティキュレーションについても考慮されるようになった。

Articulation04.gif

 ただし、アーティキュレーション以外のエレメントとの衝突回避はスラーのみが対象で、同じ変形図形のトリルなどは自動回避の対象にならない。これは、発想記号などの他のツールで書かれたエレメントに対しても同様である。

 符頭側と符尾側でアーティキュレーションの配置を独立してコントロールできるようになった。これで、ヨーロッパの楽譜に多い、スタッカートを符尾側に付ける際は符尾に揃えて配置するという流儀にも対応できる(日本では符尾側でも符頭にセンタリングさせる流儀が一般的)。ただし、複合アーティキュレーション(後述)を別々に付けている場合、配置に矛盾が生じるケースがある。

Articulation05.gif

 これまでのFinaleでは、全音符にトレモロを付けると意図しない位置に付いていた。これは、符尾側に付くアーティキュレーションの配置については符尾の先端が基準になっていたため、先端より内側に配置されるトレモロの場合、符尾のない全音符では基準点を飛び越して反対側に配置されてしまうことが原因である。こうしたトレモロについては、手動で修正するか、もしくは全音符のためだけに独立した設定のトレモロを別途定義して適用するしかなかった。

Articulation06.jpg

Finale v25以前のトレモロの配置。全音符のトレモロの位置が正しくない


 この問題はv26でやっと解決された。

Articulation07.gif

v26のトレモロ配置


 v26からは、このトレモロの配置のためだけに設けられたともいえる、"On Stem" という新たな配置設定が加わり、これを選択したときだけに現れるパラメータもある。この設定により、従来のトレモロに設定されていた "Always Stem Side(日本語版では「符尾側」)" が設定されているアーティキュレーションは皆無となり、もはやこのパラメータは過去のデータとの互換性のためだけに残されることとなった。

Articulation08.jpg

 さらには、トレモロの数によって自動的にステムの長さが調節されるようになった。ステムの長さは、上記のパラメータの中の「符頭からの距離」と「符尾、旗、連桁の端からの距離」とトレモロの数によって決定される仕組みだ。

Articulation09.gif

 このように、今回のバージョンアップでは、アーティキュレーションの機能が格段に改善されたわけだが、残された問題点もある。
 アーティキュレーションにはメゾスタッカートやスタッカートアクセントなど、2つ以上の記号が組み合わされたものがある(ここでは便宜的に複合アーティキュレーションと呼ぶことにする)。これまでのFinaleでは、たとえばメゾスタッカートのスタッカートとテヌートを別々に付けると上記のような衝突が発生していた。それ以前に、スタッカートとテヌートなどを別々に付けるのは煩わしいことから、Finaleにはあらかじめ1つのキャラクタとしてまとまっている複合アーティキュレーションが用意されていた(下図のハイライトされたもの)。

Articulation10.jpg

v25日本語版のアーティキュレーション選択画面


 浄書のルールでは、スタッカートやテヌートのような五線内に配置可能なアーティキュレーションは、符頭に一番近い線間に順番に配置されなければならないわけだが、上記のようにデザインが固定されたアーティキュレーションでは、それぞれの記号が分離できないため、浄書的には誤った配置になってしまう。

Articulation11.jpg

上:浄書的に正しい配置
下:Finaleに用意されている複合アーティキュレーションの配置。浄書的には誤り


 この問題は、v26からはそれぞれのアーティキュレーションを個別に付けることで完全に解決する。

Articulation12.gif

 さて、ここで疑問を持った方もいるだろう。そう、旧来の1つのキャラクターで表現されている複合アーティキュレーションの扱いだ。
 v26では、v25以前のファイルを読み込んだ際に、楽譜中のアーティキュレーションの配置を新仕様にアップデートするかどうかを尋ねてくる(環境設定にてこのダイアログをスキップさせることも可能)。

Articulation13.jpg

旧ファイルを開いた際に表示される、アーティキュレーションをどう扱うかを問うダイアログ


 ここで、アーティキュレーションを新仕様に更新する選択をした場合、旧来の複合アーティキュレーションがどう扱われるのかという興味が涌く。個々のアーティキュレーションに分解されて正しく配置し直されることをかすかに期待したが、はたして複合アーティキュレーションの扱いには何の変化も起こらなかった。
 v26以降のアーティキュレーションにも、旧来の1つのキャラクタで表現する複合アーティキュレーションは依然用意されている(最初のほうのダイアログ参照)。旧ファイルとの互換性のために残したという大義名分もあるだろうが、この複合アーティキュレーションが用意されている限り、ユーザーは正しい配置のためにアーティキュレーションを別々に付けることよりも、一発で複合アーティキュレーションが付けられる簡便さを選ぶだろう。その結果、残念なことだが、今後もこうした誤った記譜の楽譜は世に出回り続けることになる。

 では、Finaleはどうすればよかったのだろうか。
 答えは簡単だ。2つ以上のアーティキュレーションを同時に付けられるようにすればよいのである。たとえば、アーティキュレーション選択画面で、複数のアーティキュレーションを選択可能にするのでもよいし、マクロが定義されていれば、複数のマクロキーを押したまま付けられるというのでもよいだろう。技術的にもそんなに難しいことではないはずだ。
 さらに願わくば、旧来の複合アーティキュレーションを個別のアーティキュレーションに分解して正しい配置にしてくれるユーティリティ、ないしはプラグインを用意して欲しい。このままでは、Finaleはせっかく複合アーティキュレーションを正しい配置にできる手段を設けたのに、それを有効利用できないでいることになる。

 ちなみに、今回のアーティキュレーションの強化は垂直方向の配置のみに限定されているので、アルペジオ記号の臨時記号を避けてくれない等の、水平方向の配置に関する従来からの問題点は何ら改善されていない。アルペジオ記号の配置はアーティキュレーションの中でも特殊であり、本来なら一般的なアーティキュレーションとは独立した制御が必要なエレメントと言え、今回強化が見送られたことは理解できなくもない。v26のアーティキュレーション設定のパラメータ名のうち、これまで単に "Positioning:" だったものをわざわざ "Vertical positioning:" と断っているのは、今回の強化が垂直位置に限定したものだったということもあるだろうが、将来 "Horizontal positioning:" も加えるという布石にも取れる。新興ソフトDoricoの完璧と言えるほどのアルペジオ記号の制御を見てしまうと、Finaleにも奮起を促したくなるが、v26.5あたりで実現されることを期待する。

 今回のアーティキュレーションの改善点は、後発ソフトのSibeliusやDoricoでは初期バージョンから解決されている部分であり、Finaleがこれらのソフトの後塵を拝している数ある弱点の1つとなっていた。したがって、昨今の楽譜作成ソフトの能力を知るものにとっては、今回のアーティキュレーションの機能強化は決して目新しいものではなく、これでやっと競合ソフトとスタートラインに並んだに過ぎない。


その他の改善
・小節の直接指定
 従来のFinaleでは、スクロール表示やスタジオ表示においてはドキュメントウィンドウ左下のボックスにて小節数を指定できるが、ページ表示ではそこはページ指定になり、小節を指定することはできなかった。v26からは、いずれの表示モードにおいても、Windowsではctrl+shift+G、Macではcommand+shift+Gにてダイアログが現れ、そこで指定できるようになった。

GoToMeasure.jpg

・デフォルトファイルやテンプレートファイルの発想記号、コードサフィックス、変形線形が大幅に追加されている。
 選択肢が増えた分、目的の記号を探すのが大変になってしまうが、よく使うものにはショートカットであるマクロを設定しておくとよいだろう。

ExpressionSelection.jpg

・インストール時に、v25のアンインストールを選択できる。もちろん、残しておくことも可能。

・Mac版の高解像度ディスプレイでのパフォーマンスを改善。
 これまでも高解像度ディスプレイを使うと特定の動作が遅くなるという指摘が多く寄せられていた。私は依然古いモニタを使用しているので、高解像度ディスプレイでのパフォーマンスは体験できないのだが、このあたりの問題点についてはかなりの改善が行われたようだ。
 ただ、以前も指摘したことがあるが、高解像度ディスプレイが一般的になってきている今日日、操作に直接かかわる部分ではないとはいえ、インターフェイスの所々に未だに白黒2値のビットマップ画像が使われ続けているのはいかがなものか。

JaggedGraphic.jpg

・MusicXMLが強化された。
 MusicXMLについては、メンテナンスバージョンのアップデートの際にも、その都度多岐にわたって改善がなされている。多分に技術的なことなので、具体的な改善点について知りたい方はオンラインマニュアル(英語版)の該当項目を参照されたい。現在、楽譜記述の共通言語であるMusicXMLの開発はFinaleの開発元のMakeMusicが行っているわけだが、こうしてMusicXMLの精度の向上に心血を注ぐ背景には、新興の競合ソフトの台頭を踏まえ、それらのデータをFinaleに高精度で取り込めるようにすることでユーザーを囲い込みたいという思惑も感じられる。


 上述のとおり、今回のバージョンアップでは、アーティキュレーションの機能強化以外に特筆すべき改良点は見られず、改訂は限定的なものにとどまっている。前回のバージョンアップでは、記譜部分に革新的な改善はなく、少々肩すかしを食らった気分だった。その後まもなく、先進的な操作性を備えた楽譜作成ソフトDoricoがリリースされたことは記憶に新しい。
 現在のFinaleの最大のウィークポイントは、楽譜のエレメントの衝突に対して多くの部分で対応できていないことだ。しかし、他の競合メジャーソフトは現在そのあたりを確実にクリアしている。商用版下制作業者ならともかく、一般的なユーザーは、そんな衝突回避の調整ために時間を費やしたくはないだろう。そこを自動的に調整してくれるソフトがあれば、みんなそちらに流れてしまうのではないだろうか。
 Finaleの次のメジャーバージョンアップは2年後だろうか。少なくとも、エレメントの衝突については、ツール単位での対応などという悠長なことをやっていてはダメで、次回までにほぼ解決されていなければ、新規ユーザーの獲得はおろか、古参ユーザーからも見切りを付けられるだろう。MakeMusicにはそのくらいの危機意識を持って開発に当たっていただきたいものである。

最新のFinaleの名称はただの"Finale"
 2016年8月16日、MakeMusicはFinaleの新バージョンをリリースした。FinaleはFinale 97から毎年リリース年(実際はその翌年)の年号が付くバージョンがリリースされ続けてきたが、2012を最後にこれが途絶えた。この結果、2013というバージョンは欠番となり、2012の次は2014になった。今年リリースするとなれば2017ということになるのだろうが,MakeMusicはバージョン名に年号を付けるというこれまでの慣例も切り捨てた。最新版の名称はズバリ"Finale"。それ以上でもそれ以下でもない。アプリケーション名も"Finale"としか書かれていない。これまでは各バージョンを並行して使い分けることができたが、今後はバージョンの区別のない"Finale"という唯一のアプリケーションとしてアップデートして行く方針なのだろう。
 ただ、それだと他のバージョンとの区別が付かないので、本家でも便宜上Version 25と呼んで区別している。本記事では新バージョンについてはv25と記すことにする。

FinaleApp.jpg

Finaleのアイコンとアプリ名。バージョンの記述はない。


 今回のバージョンアップで特筆すべきはファイルの互換性である。Finaleは2012までは、新しいバージョンで保存したファイルは古いバージョンで開くことができない完全な前方互換だった。2014からは、従来の"mus"ファイルに代わって新しいファイル形式"musx"が採用され、今後はこのフォーマットが標準となるとアナウンスされたが、実際に新バージョンが出た際の、古いバージョンの"musx"ファイルとの互換性が気になるところだった。早速確認してみたところ、v25で保存したファイルは、コンバートが行われることなくそのまま2014でも開くことができる。また、2014と同様、2012フォーマットへ保存する機能も残されている。つまり、今回から後方互換が完全に保証されたことになる。こうなると、新機能で表現された部分は古いバージョンでどう扱われるのかという点が気になるところだが、これについては後述する。
 今回のバージョンでは、プログラムを64ビット用に全面的に書き直したようで、起動やプレイバックに関するパフォーマンスがかなり改善されている。


切り捨てられた古いMac OS
 v25へのバージョンアップを検討しているMacユーザーはまず注意しなければならない点がある。 v25はOS X Yosemite(10.10)以上でなければ動作せず、Mavericks(10.9)以前のOSにはインストールすることはできない。この切り捨てについてMakeMusicは「この秋にリリースされるSierra以降のOSに安定的に対応させるため」と説明しているが、Yosemiteはたった2年前にリリースされたばかりのOSである。1年毎という頻度でOSを更新し続けるAppleの姿勢にも大いに問題があるとはいえ、この切り捨てはあまりにユーザー軽視ではないだろうか。これで、v25へのバージョンアップを逡巡するMacユーザーも出てくるかもしれない。
 一方、Windows版は、Windows 7以上での動作が保証されている。この処遇の差も、Macユーザーがマイノリティーである所以だろうか。

 ......とまあ泣き言を言っても始まらないので、以下に新機能についてレビューしてみることにする。


点線スラー
 これまでのFinaleでの点線スラーは、太さが均一の針金状のスラーだった。もっとも、ツール名はあくまで「点線カーブツール」であって、あれはもとより点線スラーではなかったという弁明も成り立つわけだが、何はともあれ、v25ではスラーの厚みの変化を持った、真の意味での点線スラーが実現された。

SmartShapePalette.jpg

点線スラー(青色部分)が追加された変形図形ツールパレット
旧来の「点線カーブツール」は一番下に追いやられている


 なお、新方式の点線スラーを2012フォーマットに保存して2012で開くと、従来の点線カーブで表現される。これはある程度予想が付くし、納得もいくわけだが、興味深いのは、2014で開くと、向きが反転した通常のスラーになっていることだ。一瞬バグかと思ったが、今後"musx"ファイルはどのバージョンでも開くことができるという設計方針から、点線スラーに対応していない下位バージョンでは、本来の状態ではないことをあえて明示しているものと考えられる。

DashedSlur25.jpg

v25のスラー。左から通常のスラー。点線スラー、点線カーブ


DashedSlur2014.jpg上記のファイルをFinale 2014で開いたもの。点線スラーだったものが反転している。


DashedSlur2012.jpgFinale 2012フォーマットで保存し、Finale 2012で開いたもの


 ところで、せっかく点線スラーが実現したのだから、旧来の点線カーブを自動的に点線スラーにコンバートしてくれる機能があってもよさそうだが、残念ながらそのようなものは見当たらなかった。旧ファイルの点線カーブを点線スラーに置き換えたければ、現状では一旦点線カーブを削除して、改めて点線スラーを描くしかなさそうだ。せめて、発想記号やアーティキュレーションのように、項目のハンドルをマクロキーでダブルクリックすれば変更できるようにならないだろうか......。
 さらには、点線スラーが表現できるのなら点線タイも技術的には可能なはずだが、今のところ実現できていない。まあ、見た目的には点線スラーで代用しておけということなのだろう。


移調楽器の入力時のモニター音に移調設定が反映
 これまでのFinaleでは、移調設定が行われているパートに入力する際、移調された音ではなく、記譜音がモニターされていた。例えば、記譜音と実音の音程がかなり隔たっているバリトンサックスやグロッケンを移調譜で入力していると、音源が割り当てられていない音域外では発音しないというケースもあった。これについては、かなり以前から改善の要望が幾度となく出ていたのだが、今回やっと実現した形になった。


スコア用の大きな拍子記号の運用の改善
 拍子が頻繁に変わる曲のスコアなどでは、複数の五線をまとめる大きな拍子記号が用いられることがある(下記の譜例参照)。これまでのFinaleでも、スコア譜用とパート譜用に異なるフォーマットの拍子記号を使い分けることはできたが、表示についてはスコア譜とパート譜とで個別に設定できなかったため、スコア上で拍子記号を非表示にしたパートでは、そのパート譜は拍子記号を強制的に表示させる楽譜スタイルを作成して適用させるという面倒な作業が必要だった。v25では、「五線の属性」にてスコア譜とパート譜の拍子記号の表示を独立して設定できるようになったので、この面倒な作業が不要になった。

StaffAttributes.jpg


 ところで、この特定のパートのみに拍子記号を表示させる方法では、そのパートが「空の五線を隠す」の対象になった場合、拍子記号が忽然と消えてしまうという問題が発生する。

LostTimeSignature.jpg

拍子記号はFl.2パートにのみ表示させているので、
Fl.2パートを非表示にすると、当然のことながら拍子記号も消えてしまう。


 じつは、本家のブログのこの機能のティーザー記事を読んだとき、ここまで派手に新機能と銘打っているからには、私はもっと画期的な機能、例えば、組段のグループ名がそのグループの五線の数がどう変わろうとつねにグループの中心に表示されるように、拍子記号も同様の運用ができるようになるのかなどと勝手に期待を膨らませていたのだが、ちょっと肩すかしを食らった感じである。


ほとんど待たされなくなったプレイバック
 これまでは、Human Playbackを使って再生する場合、どんなに短い曲であっても必ず最初にプログレスバーが現れていたが、v25からはこれが現れなくなり、曲の規模にもよるが、再生ボタンをクリックすると、ほとんど待たされることなくプレイバックが開始されるようになっている。
 なお、プレイバックコントローラーを非表示の状態でプレイバックさせた場合は、従来通り、Human Playbackを使用しないプレイバックになる。


ReWireのサポート
 ReWireはDAWソフト同士を連携させる規格だが、シーケンサーソフトからFinaleをスレーブとして同期させることができるようになった(Finale側からコントロールすることはできない)。シーケンサーソフトからオーディオソースとしてFinaleを選択した状態でFinaleを起動すると、Finaleのプレイバックコントローラーからは再生ボタンなどが消え、待機状態となる。シーケンサーソフトをスタートさせると、Finaleも自動的にスタートする。この機能によって、Finaleのプレイバックを直接シーケンサーソフトにレコーディングすることが可能になる。

PlaybackControl.jpg

スレーブとして待機中のFinaleのプレイバックコントローラー


その他の追加機能
 Garritan楽器に新たにいくつかの音色が加えられた。詳細はこちらを参照されたい(太字が新たに加えられた音色)。

 最近のFinaleでは、たとえソロピアノの楽譜を作成したとしても、スコアとパート譜が自動的に作成される。そして印刷時には「印刷する楽譜の選択」というダイアログが必ず表れ、煩わしいことこの上ない。私などは、パート譜不要の楽譜を作っている際は、このダイアログが出ないように、まずすべてのパート譜を削除する作業から始めていたくらいだ。

Print.jpg

Mac版の印刷ダイアログ画面
以前の独立していた「印刷する楽譜の選択」が組み込まれている


 じつは、Windows版では従来よりこの楽譜の選択画面は印刷ダイアログそのものに組み込まれていて、選択が希望通りになっていれば特に何もする必要はない。私と同様の不満を抱えていたMacユーザーからの苦情が殺到したのだろう、さすがにMac版もWindows版と同様のインターフェイスに改善され、あの煩わしいダイアログから解放された。ただ、これまでMac版だけがなぜあのような不便な仕様になっていたのかは不明である。


 ところで、今回のv25とFinale 2014の間には、2014.5というメンテナンスバージョンが存在するのだが、諸般の事情から日本語版のリリースは見送られている。というわけで、2014.5で追加された新機能も紹介しておこう。

 転調時に自動的に複縦線になるようになった。もちろん、ファイル別オプションにてこの機能をオフにすることもできる。

 Finale 2012のスコア・マネージャーの登場で一旦廃止された五線メニューの「五線の並べ替え」機能が復活している。五線の並べ替えそのものはスコア・マネージャーでも可能だが、五線メニューの「五線の並べ替え」では、グループ単位での並び替えが可能であるのが最大の特長だ。ただし、従来通り、グループをまたいでの並び替えはできない(スコア・マネージャーでは可能)。


廃止された機能
・ライブコピーツール(英語版ではMirror Tool)
 ライブコピー(参照元を反映させて表示するコピー機能。参照元を編集すると自動的にコピー先も更新される)が使われている旧ファイルを開く際には、通常の小節にコンバートするかどうかを問うアラートが表示される。ここで「コンバートしない」を選択すると、ライブコピーはもはや編集不可能なアイテムとして残り続ける。なお、従来よりユーティリティメニューにあった「ライブコピーを通常の小節に戻す」機能もその救済策としてまだ残されている。ある機能を廃止しておきながら、その機能に基づくデータ構造そのものは残しておくという方針は、旧バージョンに立ち戻って編集するシチュエーションを考慮したものだと考えられるが、こうしてレガシーなものをいつまでも残していくと、プログラムは一層複雑怪奇なものなり、バグの誘発につながりはしないかと老婆心ながら危惧してしまう。

・テンポツール 
 「テンポツール」で作成された旧ファイルのテンポ情報は、そのままMIDI情報にコンバートされて保持される。

・スキャン入力
 この機能が廃止された理由については本家のブログに詳しく書かれているが、要は楽譜をスキャンする行為はすなわち楽譜をコピーすることに他ならず、著作権法に抵触するのではないかという議論があった上での判断らしい。今後もスキャン機能が必要というユーザーは、最後の搭載となったFinale 2014を捨てずにおこう。

・Band-in-a-Box 自動ハーモニー(プラグイン)
 64ビット仕様に対応できなかったことが理由とされているが、これは将来の復活に含みを持たせている。

・アイテム統計(プラグイン)

・8分音符の自動連結(プラグイン)
 ユーティリティメニューの「連桁の再連結」機能でほぼ同等の処理ができるため。

 ところで、2014までは、バンドルされなくなったプラグインであっても、旧バージョンのプラグインをプラグインフォルダにコピーすれば問題なく使えていたが、今回はプラグインも64ビット仕様に作り直されたため、旧バージョンのプラグインは使えなくなっている。

 日本語版としてリリースされなかった2014.5で廃止された機能も紹介しておこう。もはや誰も使わないだろうということで切り捨てられたと思われるものばかりである。
・コマンド入力(プラグイン)
・並進行の検索(プラグイン)
・第3線の符尾の向き(プラグイン)
・小節番号配置情報の消去(プラグイン)
・譜めくりアシスタント(プラグイン)

・マイク採譜(MicNotator)
 マイクによる入力が廃止されたのにもかかわらず、リアルタイム入力ツールのアイコンにマイクの絵がまだ残っているのはご愛敬か。


既に問題点も?
 Windows版がどうかは不明だが、少なくともMac版では2014で作成されたものも含む旧ファイルを読み込んだ際、一部のフォントが文字化けして表示される問題がある。どうやら文字化けするのは欧文、日本語フォントにかかわらず、古いType1フォントのケースが多いようだが、これについてはもう少し精査してみたい。じつは、この問題は日本語版がスキップされた2014.5から発生しだしたのだが、2014.5からはフォントの扱いが変わったらしく、その影響が出ている可能性が高い。

Text2014.jpg

Finale 2014で開いた状態


Textv25.jpg上のファイルをv25で開いた状態


 また、Finale 2014からは、パート譜表示でもプラグインが使えるようになったのだが、v25では再びほとんどのプラグインがグレーアウトして利用できなくなっている。おそらく、パート譜独自にプラグインを使用することによって、スコア表示と矛盾が生じてしまう状況が発生したため、再び封印したのではないだろうか。


まとめ
 今回のバージョンアップについて、パフォーマンスの改善という部分は評価できるものの、新機能については「この機能でどれだけの人が恩恵を受けるの?」といった感じの些末な改変にとどまった印象だ。ライバルソフトに大幅に後れを取っているとされるレイアウト機能については、今回も何の改善も見られなかった。とりわけOSのバージョンによって不具合なく使用できるバージョンが限られているMacユーザーにとっては、ますます使用条件が狭められる事態になっている。

 現在、この冬にリリース予定の全く新しい楽譜作成ソフトが注目を浴びている。そんな状況の中で、Finaleが今後どうユーザーを引き留めていくだけの魅力を持ち続けられるのか、正念場を迎えていると言ってもいいだろう。

 2012年6月にリリースされた無料のiPad用ビューワーアプリ、Finale SongBookが人知れず公開を終了していることが分かった。


SongBook.jpg


  現在、App StoreでFinale SongBookを検索しても、「お捜しのアイテムは見つかりませんでした」と表示される。本家MakeMusicのサイトからは、すでにSongBookに関する情報が削除されている。この原稿を書いた時点では、まだ国内販売元のMI7のサイトにはFinale SongBookのページが存在しているが、もちろんそこからもダウンロードはできないし、ページ自体いずれは削除されることになるだろう。

 このFinale SongBookの公開終了については、MakeMusicは積極的なアナウンスはしていないが、サイト内のFAQにて「Finale SongBookはどうなってる?」という問いに答える形でコメントを発表している。要約すると、以下のようになる。

──Finale SongBookのリリース以来いろいろな状況が変化し、現在のiOS 8での使い勝手はとても満足できるものではないことから、我々はFinale SongBookをApp Storeから削除することにした。今後、Finale SongBookという形でのアップデートの予定はないが、将来、iPadのようなモバイル端末で楽譜を共有することへのニーズに何らかの別の形で応えたい。──

 私はiPadそのものを持っていないので、Finale SongBookの具体的な使用感を評価できる立場ではないのだが、周囲の実際に使った人やネット上での感想などを見る限り、このアプリを有効に活用しているといった話はとんと聞かない。実際のところ、演奏に使うには楽譜表示が小さすぎるし、表示専用ソフトということで入力や編集機能は持ち合わせてなく楽譜製作にも使えない。頻繁に落ちて不安定という話も聞く。そもそも無料版として配布していたことからも、もとより商品として展開する予定はなく、MakeMusicの原文コメントの冒頭にもあるように、モバイル端末での楽譜表示の研究のための試作品といった位置付けだったのだろう。

 メロ譜やピアノ譜程度ならともかく、タブレット端末の限られた大きさの画面は大編成のスコアを見渡すには不向きで、楽譜製作はまだしばらくはパソコンでの作業が続くだろう。しかし、この時代、作曲家が出先で思いついたフレーズをスマホなどにメモしたものを、Finaleとシームレスにリンクするといった使い方ができて然るべきであり、その気になれば、Finaleの「マイク採譜」エンジンを使って鼻歌や口笛を記譜することも可能のはずだ。おそらくそういった要望はすでにMakeMusicにも届いていて、彼らもその実現を視野に入れているはずである。
 今後、Finaleとモバイル端末とのより実用的な連携をどう打ち出してくるか注目していきたい。

※ 13/11/28に変形図形の解説を改訂

 去年(2012年)6月、Finaleの開発元のMakeMusic社は、これまで続けてきた毎年の新バージョンのリリース方法を止めるとアナウンスした(過去記事参照)。そして、11月4日、前回のバージョンアップから約2年ぶりに新たなバージョンがリリースされた。
 巷では新バージョンの名称について、「毎年のリリースを止めたんだから、もはやバージョン名に年号を付ける意味はなく、Windows OSがそうだったように、初期のようなの8.0とかの呼び方に戻るんじゃないか」とか、「心機一転、AdobeのCSシリーズみたいな新名称になるのではないか」などと噂されていたが、結局1年飛ばしたFinale 2014という名称で発表された。ちなみに、Finaleはバージョン97から毎年リリースを続けていたが、Finale 99というバージョンは存在しない。なぜなら1999年にリリースされたのがFinale 2000だったからである。


変更されたインターフェイス
 まず、アプリケーションのアイコンのデザインが一新された。じつはこのデザイン、既にリリースされているiPad用のFinaleビューワーであるFinale SongBookのものと共通したものになっている。


Finale2014Icon.jpg


 起動画面や起動パネルのカラーリングも一新されている。最近、本家のMakeMusicのサイトを訪れたことのある方は既にお気付きだと思うが、本家サイトのカラーリングと統一されていることが分かる。


FinaleStartup.jpg

Finale 2014の起動画面。バージョン名は明記されていない


 この青緑系のカラーリングは、ミキサーを始め、ファイルのアイコンなどFinaleのさまざまなグラフィカルインターフェイスに踏襲されている。


Mixer.jpg

Finale 2014のミキサー


 Windows 8をはじめ、Appleの携帯端末用の最新OSのグラフィカル・インターフェイスは、スキューアモーフィズム(現実的表現)を排したシンプルでフラットな表現への転換が潮流だが、Finale 2014もその流れに沿ったデザイン変更がなされている。なお、インターフェイスについての記述はMac版を元に書かれているので、Windows版のものとは異なっている部分があることをご了承いただきたい。


Appearances.jpg

Finale 2014の外観(クリックで原寸表示)


 順に追って見ていこう。
 まず、ツールパレットがシンプルなデザインになった。これまでのツールパレットはユーザーの好みでいくつかのデザインから選択できるようになっていたが、2014からは「旧バージョン」パレットに似た一種類のみになり、ユーザーの選択肢はなくなった。その新しいアイコンのデザインだが、慣れてしまえば気にならなくなるのかも知れないが、妙に説明的になりすぎたせいか、今ひとつ洗練されていない印象がぬぐえない。私はこれまではステップ入力パレットが編集中のレイヤーの色に応じて変化する「旧バージョン」を使っていて、編集中のレイヤーの確認を視覚的に行っていたのだが、2014のパレットではこの色の変化がなくなってしまったのが残念である。なお、これらのパレットはマグネットのようにお互いに吸着し合うようになっている。 

 プレイバックコントローラーもモノトーンでフラットなデザインに変更されている。また、これまでアイコン表示だったプラグインメニューが文字表記に変わっている(Windows版はもとより文字表記だった)。

 Mac版2014はCocoaの開発環境で完全に作り替えられ、OS 10.7(Lion)以上の標準機能であるフルスクリーンモードにやっと対応。それに伴い、上部にあったメッセージバーがウィンドウ下部のナビゲーションコントロールの横に移動している。処理の進捗を示すプログレスバーもここに表示される。

 あと、楽譜内容をドラッグコピーする際、これまでは範囲を示す枠しかドラッグされなかったが、2014からは楽譜内容そのものがドラッグされるようになり、視覚的に確認しやすくなった。些細なことだが、こういう改善は評価したい。


DragCopy.jpg

楽譜のドラッグコピーの際、楽譜内容が表示される


 ただし、ファイル間のドラッグコピーができなくなっている。仕様変更ということも考えにくいことから、単なるバグなら早急に改善して欲しい。


14/1/19に追記

 1月8日にアップデートされたFinale 2014aにてこのバグは解消された。



 道具箱ツールでの編集で、ハンドルをドラッグした際、ハンドルを離す瞬間まで変更前の状態が残像として残るようになった。ただ、他のツールでの同様の操作ではこの現象は生じず、インターフェイスのちぐはぐさを感じる(Finaleのインターフェイスの不統一は他にもあるが)。


SpecialToolsEdit.jpg

音符移動ツールで2分音符をドラッグしている状態


無調表記に標準対応
 これまでも移調楽器が含まれているスコアでの無調設定は可能ではあったとはいえ、決して分かりやすいものではなかった。2014からはその無調設定が簡単に行えるようになった。セットアップ・ウィザードから新規作成した場合は、調設定のメニューに加わった「Keyless」を選択するだけだ。


Keyless1.jpg


 また、調性部分と無調部分が混在するような曲では、これまではどちらかの部分の移調設定を施した楽譜スタイルを移調楽器の種類の数だけ作って対応させるという面倒な作業が必要だっが、2014からは調号ツールにて転調時に「Keyless」を選択するだけで済む。


Keyless2.jpg


 さらには、これまでも多くのユーザーから要望の多かった、調号を付けないティンパニや古典的なホルンの表記にも標準対応した。セットアップ・ウィザードなどで通常の移調楽器として編成を組んだ後、スコア・マネージャーにて対象楽器について移調設定項目に新たに加えられた「Hide Key Signature & Show Accidentals」にチェックを入れるだけだ。当然のことながら、他のパートから音符をコピーした場合も臨時記号は正しく表示される。


Keyless3.jpg

(クリックで原寸表示)


レイヤー間の臨時記号処理が強化
 同一小節内で異なるレイヤーで書かれた臨時記号について、自動的に再表記させることが可能になった。


LayerAccidentals1.jpg


 これは「五線の属性」にて五線毎に設定を変えることができるので、オーケストラスコアなどで、複数パートを異なるレイヤーで書き分けているパートでは有効にし、ピアノパートでは無効にするといった使い分けができる。


LayerAccidentals2.jpg


 ただし、「警告の臨時記号」プラグインはこの仕様にはまだ対応していないようだ。


LayerAccidentals3.jpg

矢印のB音には自動的にナチュラルは付かない


 また、異なるレイヤーで共有する符頭に付く臨時記号がダブって表示される問題もようやく解消した。


LayerAccidentals4.jpg

2012までの表示


LayerAccidentals5.jpg

2014の表示


 ただし、やはり「警告の臨時記号」プラグインはこの仕様にはまだ対応していないようだ。


LayerAccidentals6.jpg

上の状態から「警告の臨時記号」を適用すると、やはりダブって表示されてしまう


 なお、このあたりの強化と関連しているかどうかは定かではないが、さりげなく「ユーティリティメニュー>その他のユーティリティ」および「高速ステップ入力メニュー」にあった「臨時記号をチェック」という項目が廃止されている。


複数レイヤーで共通の休符をまとめて表示する機能
 複数のレイヤーに存在する同拍上の同じ音価の休符について、自動的に1つにまとめることができるようになった。どちらの表記にするかは、「ファイル別オプション - レイヤー」にて決定できる。


CommonRest.jpg

上:従来の配置 下:このような表記も可能


変形図形の仕様変更 ※ 13/11/28に改訂
 松葉やトリル記号など、これまで小節に所属していた変形図形が拍に所属するようになった。具体的には、発想記号やコードネームと同様、変形図形の始点終点は拍頭、各音符/休符の頭、右小節線の直前の各ポイントに所属するようになり、所属ポイントを示すインジケーターが表示されるようになっている。


SmartShape1.jpg


 では、小節に所属していたものが拍に所属することによって何が変わるのか?
 2012までの小節に付く変形図形の始点終点は、小節に対して絶対的な位置に所属していた。したがって、一旦描いた変形図形は小節の伸び縮みとシンクロして伸び縮みし、結果として記号との衝突が発生したり、逆に記号との間に必要以上の隙間ができていたりしていた。


SmartShape2.gif

2012までの松葉


 2014からの小節に付く変形図形の始点終点は、上記にも述べたように、拍の頭、音符/休符の頭、右小節線の直前の各ポイントに所属し、各ポイントからの相対的な距離に配置されるようになっている。こうすることによって、小節の幅がどんなに変わっても変形図形の始点終点はポイントからの距離が一定に保たれ、記号との衝突や不自然な隙間は生じなくなった。


SmartShape3.gif

2014の松葉


 なお、2012以前に作られたファイルを2014で開いた場合は、変形図形の始点終点の所属についてはこれまでどおりなので、改めて2014方式に所属を変更しなおさない限り、従来の問題は依然発生することに注意されたい。


SmartShape4.jpg

2012以前に作られたファイルを2014で開いたところ


 ただ、今回の仕様変更は新たな問題点も生み出している。
 描画の際、変形図形の始点終点は各ポイントに強制的に吸着するので、確かにトリルのような記号の場合は位置決めが容易になったが、次の譜例のように吸着ポイントから外れた位置に端点を起きたい場合は、一旦ポイントに吸着した図形を改めてドラッグして調整し直さなければならず、かえって操作が煩わしくなってしまった。


SmartShape5.jpg

このようにオクターブ記号を付けようと思っても......


SmartShape6.jpg

始点終点は各ポイントに強制的に吸着してしまう


 さらには、次のようなケースでは、描画プロセスが絶望的に面倒になっただけでなく、端点が各ポイントからの絶対距離となる仕様がかえって仇となり、小節幅の変更に対応できないという問題も発生している。このケースでは小節に所属させる従来の仕様のほうが都合がよかった。


SmartShape7.jpg

1拍目と2拍目では端点の所属を変えてある(○印)


SmartShape8.jpg

上記の小節の幅を広げた状態


 じつは、このケースの問題点を解決する方法もあるにはある。仕様が変われば、それに伴う新たな方法論も確立されていくといったところだが、紙幅の都合もあり、そのあたりについては改めて記事にしてみようと思う。
 何はともあれ、おそらく今回のこの仕様変更に対してはユーザーから改善を求める声が上がりそうだ。たとえば、optionキー(Windowsならさしずめaltキーか)を押しながら描画すれば、従来のように任意の位置に描けるという方法でも良いと思う。

 改善された点もある。
 これまでは、松葉などの小節に所属していた変形図形は、スコア譜とパート譜とでリンクを切ることによって垂直方向については独立した調整ができたが、なぜか水平方向についてはリンクを切ったにもかかわらず調整が連動していた。これはバグではなく、マニュアルにもこの仕様については明記されていた。おそらく技術的に解決できない部分があり、仕様ということで逃げていたと思われるが......。


SmartShape9.jpg

2012以前ではスコア譜表示で松葉を揃えても......


SmartShape10.jpg

パート譜表示では松葉が強弱記号に衝突していた


SmartShape11.jpg

そこで、パート譜上で松葉を調整してスコア譜に戻ってみると......


SmartShape12.jpg

スコア譜表示の松葉が揃わなくなっていた


 この仕様のせいで、スコア譜とパート譜とで表記が両立せず、結局、仕上げ用のスコア譜を別途作るハメになっていたのだが、2014からはこの問題は解消された。


SmartShape13.jpg

2014での編集結果


 もっとも、2014では、上パートについて新仕様に基づいた配置を行っていれば、パート譜表示にした際にも衝突は生じない。このあたりのノウハウについても、別の機会に紹介してみようと思う。


パーカッション・レイアウト編集の改善
 パーカッション・レイアウト設計の機能が強化された。パーカッションMIDIマップ編集画面との連携が容易になったほか、楽器の選択方法に改善が施されている。
 これまでは、パーカッションとして使う楽器を定義する際、Note Type(楽器タイプ)のメニューにはFinaleで定義されているすべての楽器タイプが表示され、たとえばシンバルを選択する場合もあまりに選択肢が多く、どの楽器を選択すればいいのか迷った人も多いのではないだろうか。


PercussionLayout1.jpg

これまでの「楽器タイプ」選択メニュー(クリックで原寸表示)


 そこで、2014からは楽器を絞り込んで表示することができるようになった。


PercussionLayout2.jpg


 ここをチェックした状態で楽器タイプを選択すると、使用中のパーカッションMIDIマップで定義されている楽器しか表示されなくなる。

PercussionLayout3.jpg

(クリックで原寸表示)


リンク・パートの強化
 道具箱ツールでの編集がスコア譜とパート譜で個別に可能になった。これは、スコア譜では1段にまとめて表記している2つのパートをそれぞれ独立したパート譜として作成した場合、音符や付点位置の矛盾を調整する際に有効である。
 また、2012までは、リンクされたパート譜の編集時にはプラグインはごく一部のものを除いて基本的に使えなかったのだが、この制約がなくなった。 これで、パート譜単独で「コーダ切れ」を作ることができるようになった。さらには、道具箱ツールでの編集が独立して行えるようになったことから、道具箱ツールの機能を応用して表現している「小節をまたぐ連桁」も、スコア譜とパート譜で改行位置が異なるケースにも対応できるようになった。
 ただし、もとよりスコア譜とパート譜で独立した編集を行えないエレメントについては、パート譜上でプラグインを適用しても、その効果はスコア譜にも及ぶ(「警告の臨時記号」、「休符の移動」等)。


過去のバージョンで保存することが可能に
 これまでのFinaleでは、一旦上位バージョンで保存したファイルは二度と下位バージョンで開くことはできなかった。多くのユーザーがこの仕様について不満を持ち続けていたわけだが、それについてこれまで開発元は「新機能による楽譜表現が旧バージョンでは不可能だから」と説明し続けてきた。しかし、やっとその重い腰を上げたようで、ついに2014よりこの制約がなくなった。
 2014からは、これまでの拡張子が".mus"だった楽譜ファイルに変わり、".musx"という拡張子の新しい楽譜ファイルフォーマットを採用している。そして、".musx"ファイルはつねに旧ファイルフォーマットである".mus"で保存し直すことができる。ただし、".mus"ファイルは2012フォーマットで保存されるので、2011以前のFinaleでは開くことはできない。したがって、2014以降のファイルを2011以前で開けるようにするには、従来通りMusicXMLを介するしかない。
 この拡張子の付け方は、 Microsoft Excelの旧ファイル形式である".xls"に対するExcel 2007以降のファイル形式".xlsx"に倣っているようにみえる。ただ、さらに先のバージョンで作成された".musx"ファイルが、2014以降の任意のバージョンに遡って開けるようになるかどうかについては、現時点では分からない。
 さて、2014での新機能の部分を2012フォーマットに変換するとどうなるのかは誰しも抱く興味ではないだろうか。2014の新機能である無調設定を施した上記のファイルを2012フォーマットで保存し、それを2012で開いてみた。すると、無調部分は普通のハ長調に戻ってしまうようだ。実際の演奏には支障はないかも知れないが、音楽の構造としてはまるで違ったものになるので、この手の曲のファイル交換を行う際には注意が必要である。


Keyless4.jpg

上記のファイルを2012フォーマットで保存したものを2012で開いたもの


その他
 今回、新たなプラグインの追加はないが、逆に、あまりに特殊な用途のため需要がなかったせいか、「作曲・編曲関連」にあった「作曲支援ツール」プラグイン群はバンドルから外された。ここにあった「共通音にタイをかける」は便利なプラグインだったので(過去記事参照)、これがバンドルされなくなったのは少々残念であるが、以前のバージョンをお持ちの方であれば、過去バージョンのプラグインファイルを2014のプラグインフォルダにコピーすることで、これまで通り使用できるようになる。


OldPlugin.jpg

旧バージョンのプラグインもプラグインフォルダにコピーすればそのまま使用可能


 Garritanサウンドにアルトフルートやフリューゲルホルン等の新たな音色が加わっている。2014で追加された音色についてはこちらを参照のこと。

 リアルタイム入力の一方式である「シーケンス採譜モード」機能が廃止された。この「シーケンス採譜モード」、外部シーケンサーの演奏を取り込んで採譜する機能だったらしい。「らしい」などと人ごとのように書いているのも、私自身この機能を使ったことがなく、今ひとつ機能を理解できていないからだ。過去のマニュアルを遡って調べてみたところ、少なくともFinale 2000以降、一度も機能の変更が行われた形跡がないことから、もはや誰も使っていないと判断されたのだろう。


 今回のバージョンアップは、外観こそリニューアル感はあるが、機能部分では2012のマイナーアップデートであった2012cの改変規模とさして変わらない印象があり、タイミング的にも2012cが実質2013だったのではないかとも思えるほどである。もちろん、過去のバージョンに戻せるようにするなど、ファイルデータ構造の刷新にはそれなりの苦労があったのかもしれない。しかし、ことレイアウトや衝突回避機能などは、現在のところライバルソフトに大きく水をあけられており、Finaleユーザーはそのあたりの強化に期待をしていたはずだが、メジャーバージョンアップを2年待たされた割には、少々肩すかしを食らった感は否めない。
 もっとも、その間にこれまでずっと抱え込んでいた多くのバグの解消に注力していたのかも知れない。そのあたりがどの程度改善しているのか、あるいはしていないのか、改めて検証してみようと思う。

 なお、日本語版を取り扱っているエムアイセブンジャパンは、Finale 2014日本語版についてはこの冬に発売予定としている。

 既にご存じの方も多いと思うが、MakeMusicはFinaleの今年中の新バージョンのリリースをあきらめ、そのかわりに若干の新機能を追加し、バグフィックスを行ったアップデート版を無償リリースすると発表した(前記事参照)。そのアップデータ2012bがリリースされたのが6月26日。それから既に5ヶ月が経とうとしている。その間には、Mac版Finale 2012日本語版に英語版のアップデートが促されるなどの混乱も発生し(前記事参照)、日本語版を扱っているMI7からは急遽、年内をメドにアップデータを配布する旨のアナウンスが行われたのだが、現時点で新たな動きはない。
 当初、日本語アップデート版もそう間を置かずにリリースされると踏み、そのレビューについてはそれを待って書こうと考えていた。しかし、いっこうにリリースされる気配がない状況にしびれを切らしたので、とりあえずアップデート版については英語版を使って紹介することにする。
 なお、この間に本国では2012cのアップデータも配布されたのだが、2012cでは若干のバグフィックスが行われただけで、機能面では実質"2012c=2012b"とみて差し支えないだろう。


若干のメニューの変更
 ファイルメニューにあった各種読み込みや書き出し項目が「Inport」と「Export」サブメニューに整理されている。


FileMenu.jpg


 これまで「プログラム・オプション」と呼ばれていたオプション群が「Preferences」という名称に変更された。おそらく、日本語版ではそのまま「環境設定」となるだろう。
 これに伴い、Mac版では「Finale 2012」メニューにある「環境設定」のサブメニューに置かれていた「プログラム・オプション」がいきなりメインメニューの「Preferences」として開くようになる。そして、「環境設定」のサブメニューにあった「計測単位」と「異名同音の表記」が独立したメニュー項目に昇格している。


Finale2012Menu.jpg


 メニュー体系の異なるWindows版では、もとよりこれらの項目は「編集」メニューの中にそれぞれ独立して置かれており、ある意味Mac版がWindows版の書式に擦り寄ったとも言える。


音域外の警告表示
 あるパートを他のパートにコピーしたり、移調譜を作らなければならなくなった時、うっかり一部の音が音域外になっていたという経験をお持ちではないだろうか。そういうミスを防いでくれるのがこの機能だ。表示メニューに新たに設けられたプレイヤーのレベルを選択するサブメニューの「Beginner(初級者)」「Intermediate(中級者)」「Advanced(上級者)」を選択すると、それぞれのレベルに基づいて決められた音域を外れた音符がオレンジ色で表示される。
 なお、このプレイヤーのレベル設定はファイル全体に共通なので、「トランペットは初級者だが、フルートは上級者」といったパートごとの設定はできない。


OutOfRangeNote.jpg

プレーヤーレベルを「Intermediate(中級者)」に設定した場合


 「音域外の音を指摘するなんぞ、このベテランの私を愚弄するつもりか!」とご立腹の方は、そのサブメニューから「Off」を選んでおけば心安らかに編集に専念できるだろう。

 さて、こういう機能が標準装備されたなら、現在プラグインで処理している"音価チェック"も自動処理されても良さそうなものである。たとえば、音価がオーバーもしくは不足している小節をつねにハイライト表示してくれるだけでもありがたいのだが......。


楽器の音域を考慮したコピー
 これまでは、たとえばバイオリンのフレーズに演奏音域の異なるグロッケンを重ねようとした場合、バイオリンパートをグロッケンに一旦コピーしたのち、適切な音域にオクターブトランスポーズさせる作業が必要だった。2012bからは、それぞれの楽器の音域を考慮し、適切な音域に収まるように自動的にトランスポーズされてコピーされるようになった。


AutoTranspose1.jpg

2012b以前は、バイオリンパートをグロッケンパートにコピーしただけではこんな状態に......


AutoTranspose2.jpg

2012bからは一発で適切な音域にコピーされる


 もちろん、「そんな余計なことはしなくてもいい!」という方は、環境設定にてこの機能をオフにすることもできる。


タイトル等の直接入力
 Finaleでは、楽譜上にスタンプ機能(日付や特定の文字列を参照して表示する機能)を使って表示されるタイトルや作編曲者名などは「スコア・マネージャー」の「ファイル情報」で管理されており、これまではこれらの内容を変更するにはいちいち「ファイル情報」のダイアログを呼び出す必要があったのだが、2012bからは楽譜上で直接編集できるようになっている。ここで編集された内容は「ファイル情報」の内容にも自動的に反映される。


Placeholder.jpg

タイトルを楽譜上で直接編集できる


 さて、これができるようになると、ますます不便を感じるのは文字発想記号ではないだろうか。文字発想記号はいまだに楽譜上で直接編集が行えず、いちいち文字発想記号の編集ダイアログを呼び出さなければならない。そろそろこのあたりにもメスを入れてもらいたいものだ。


スペーシングを考慮した歌詞用フォントのバンドル
 「歌詞のスペーシングをより適切にするため」と謳われている、Finale Lyricsという歌詞用テキストフォントが追加されている。このフォントはTimes New Romanフォントをやや長体にし、文字間隔もより狭くなるような設定が施されているもので、Times New Romanを使った場合に比べ、スペーシングは全体的により引き締まったものになる。


FinaleLylicsFont.jpg

比較として市販フォントのTimes New Roman Condensedも載せてみた


 本家のフォーラムには早速「他のフォントには対応しないのか?」といったユーザーからの声が投稿されているが、至極もっともな意見である。これは、例えばルビを振る機能のないワードプロセッサのために「最初から漢字にルビが振られたMS明朝を新たにデザインしました」と言っているようなもので、「じゃあ普段ヒラギノ明朝を使っている人はどうやってルビを表現するの?」ということになる。そもそもこういうことは新たなフォントを作ることで対応するのではなく、既成のあらゆるフォントに対して文字比率や文字詰めを設定できるような、組版的な処理機能を用意することで対応すべきことである。これは2012にバンドルされた和音記号フォントについても同様のことが言え、開発思想そのものが場当たり的な感は否めない。文字比率の変更は無理だとしても、もともとFinaleには文字間調節機能が標準で用意されているのに、なぜ歌詞にだけその機能が使えない仕様になっているのか、ずっと以前から疑問を感じている。
 一方、今後ますます一般的になるであろう電子端末での汎用的な表示のことを考えると(下記の「電子端末への対応」の項も参照)、文字処理はなるべく単純化されていたほうが良く、ソフト的に処理するよりフォントのみで対応できる仕組みにしておいた方が都合がよい。今回のフォントのバンドルは、そういった部分をも見据えた上での判断だったのかもしれない。


フォント付加情報の自動設定
 フォント付加情報とはフォントの各キャラクタがどのエリアに収まっているのかを記した情報であり、スタッカートとスラーの接触の回避などの判断に使われている。通常、Finaleに標準付属の記譜用フォントを使っている限り、ユーザーがフォント付加情報のことを意識する必要は全くないが、サードパーティー製の記譜用フォントを使ったり、オリジナルの記譜用フォントを作成して使用する際には、楽譜を適切に配置させるためにそのフォントの付加情報が必要になる。
 これまでも、「プログラム・オプション - 編集」の項目にある「フォント付加情報...」ボタンを押すと現れるエディタで、キャラクタごとに手動で付加情報を設定することはできたのだが、通常、1つの音楽記号フォントには200近いキャラクタが含まれており、全てのキャラクタについて付加情報を設定するのは大変な労力を要する。2012bからは、この作業を自動化する機能が加わった。さらに、フォント付加情報の定義されていない記譜用フォントを使ったファイルを開くと、フォント付加情報を自動的に作成することも可能になった。


FontAnnotation.jpg

赤で囲んであるのが新たに加わった機能


新しいAria Player
 Aria Playerが新しくなった。カラーリングが大胆に変更されているほか、リバーブ等のエフェクトコントロールが増えている。なお、今回新たな音色の追加はない。


AriaPlayer.jpg

(クリックで原寸表示)


電子端末への対応
 楽譜の出力フォーマットにSVGとEPUBが加わった。
 SVG(スケーラブル・ベクター・グラフィックス)はPDFと構造は似ているが、XMLで記述されているため、こちらのファイルのように通常のブラウザで楽譜を表示させることができる(ブラウザによっては記譜フォントが文字化けして表示される可能性がある)。
 EPUBとは電子書籍用ファイル・フォーマット規格で、このフォーマットで楽譜を書き出すと、タブレット端末等の電子書籍閲覧アプリで楽譜を表示することができるようになる。


EPUB.jpg

iPhoneの電子書籍閲覧アプリiBooksで楽譜を表示したもの


 ただ、今のところどちらのフォーマットも楽譜を「固定された絵」として表示しているに過ぎず、その点ではPDFで書き出された楽譜と大差はない。特に電子書籍用フォーマットであるEPUBでは、通常の文章のように表示デバイスの大きさや縦横の比率に応じて楽譜のレイアウトも自在に変化することが期待されるが、それには楽譜表記のための独自の表現(例えば改行にかかるタイや改行時の調号の予告等)が必要となり、おそらくEPUBだけでの対応は今後も困難だと思われる。
 とはいえ、紙に印刷された楽譜が完全になくなることはないにしても、遅かれ早かれ電子端末での表示に取って代わる日が来ることは間違いないだろう。従来の「楽譜のレイアウトは固定されたもの」という概念は捨て去る必要に迫られ、「フレキシブルなレイアウト」に対応した新たな記譜法もそのうち考案されるかもしれない。


 その他、クラッシュした際、直前までの作業を記憶し復元してくれる機能が付いたらしいのだが、私がまだ英語版2012cで本格的な作業を行っていないため、幸か不幸かまだクラッシュに遭遇できず、この機能については検証ができていない。この機能が額面通りであれば、クラッシュ時の作業の損失(精神的な損失も)は大幅に軽減されるはずなので、大いに期待したい。もっとも、それ以前にクラッシュの起こらないソフトにしてもらいたいものだが。

 今回のアップデートでは、これまで抱えてきた数々のバグも解決されているという。ただ、こと日本語版2012については、主に日本語処理にかかわる日本語版固有のバグも多数確認されているので、このあたりは日本語版のリリースを待って改めてレビューしたい。

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