インターフェイスの混迷

 今でこそ、シェア的にはWindowsユーザーの方が圧倒的に多いFinaleだが、もともとMac用に作られたソフトだったことを知る人は多くないかもしれない。しかし、初期のバージョンのFinaleのおよそMacらしからぬ複雑怪奇なインターフェイスは、当時のMacユーザーの間でも不評だった。Finaleにはいまだに、あるツールを選ぶとそのときだけに出現するメニューがあるが、これは当時のAppleのMac用ソフトのガイドラインにある「モードレスであれ(つねにどの作業もできるべきである)」という精神に逆行するインターフェイスである。今や、FinaleはMacユーザーだけの物ではなくなったが、そういう意味では、いまだにまだ洗練されていない部分を引きずっているソフトとも言える。

 そのFinaleも今年で20歳を迎えようとしている。インターフェイスも試行錯誤のうちに改善され、メインツールパレットのツール数も統廃合されてずいぶん少なくなった。ただ、これは他のメジャーソフトでもあることだが、バージョンアップの度にメニューの項目内容が移動するのには閉口する。例えば、「計測単位」などは、オプションメニュー(2006)→編集メニュー(2007)→Finale 2008メニュー(2008)という迷走ぶりだ(Mac版)。特に今回の2008では、以前の「ブロック編集メニュー」が消滅して「編集メニュー」と「ユーティリティーメニュー」に分散統合され、操作体系もずいぶん変更された。このあたりは楽譜編集にもっともよく使うメニューなので、2008を使い始めた当初は大いに面食らった。いまだに2007以前のクセが抜けきらず、ついついありもしない「ブロック編集メニュー」をマウスカーソルが虚しくまさぐってしまう。

 もっとも、私の友人の作曲家はFinaleを2007から使い始めて、すぐに2008に切り替えたクチだが、彼曰く、「2008は使いやすくなった」のだそうだ。つまり、より使いやすさを求めて熟考に熟考を重ねた結果が現在の形ということなのだろう。確かに、使い慣れてくると、このインターフェイスの方が合理的だなと感じられるようになっていく。

 その2008にもまだ不満がある。「表示メニュー」というものがありながら、「移調楽器を実音で表示」「編集中のレイヤーのみ表示」「パート譜として表示」といった表示に関する項目が、隣の「書式メニュー」にあるのはいったいどういう了見だ?

 Finaleの洗練されたインターフェイスへの道のりはまだまだ遠く険しい。

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このページは、Hossyが2008年6月18日 18:00に書いたブログ記事です。

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